糖尿病とは
糖尿病とは、血液中のブドウ糖の濃度が長期間、慢性的に高くなる病気です。
食べ物に含まれる糖分がブドウ糖として体内に取り込まれると、膵臓からインスリンが分泌されます。インスリンは血中のブドウ糖を筋肉や肝臓へ取り入れて血糖を下げる役割があります。
しかし、肥満、運動不足、ストレス、加齢などが要因でインスリンの分泌や作用が低下し、高血糖となります。現在、日本では予備軍を合わせて、成人の約5人に1人の割合で糖尿病を患っていると言われています。
糖尿病の種類
・1型糖尿病
やせ型で子供や若年層に多く、急激に発症・進行します。何らかの原因で膵臓のβ細胞が破壊されインスリンが分泌されなくなるために起きます。インスリン注射が適応です。
・2型糖尿病
日本の糖尿病患者の9割以上が2型糖尿病です。中高年に多いとされていますが、若年層でも増加傾向となっています。肥満体型に多く、緩やかに発症・進行します。
日本人はインスリンの分泌量が少ないと言われていますが、遺伝的要因に加えて食べ過ぎや肥満、運動不足などの生活習慣の乱れが要因となりインスリンの分泌や作用が不足します。
基本的には食事療法や運動療法が主ですが、必要に応じて薬物療法がおこなわれることもあります。
・妊娠糖尿病
妊娠中に発見・発症した糖代謝異常のことです。胎盤で作られるホルモンの影響でインスリンの分泌が減り血糖が上昇します。胎児に影響を与えるため、注意が必要です。
・その他
遺伝子疾患や内分泌疾患などの基礎疾患や薬剤の副作用が原因で起こるものもあります。
診断
糖尿病の代表的な診断基準としては以下のものがあげられます。
①空腹時血糖126mg/dL以上、
ブドウ糖負荷試験2時間値200mg/dL以上、
随時血糖値200mg/dL以上のいずれか
➁HbA1c値6.5%以上
➂合併症状の有無
症状や合併症に早めに気がつけるように!
合併症
糖尿病では代表的な3大合併症として以下のものがあげられます。「しめじ」として覚えておきましょう。
・「し」神経
糖尿病性神経症は手先足先の痛みやしびれ、感覚異常などが現れます。進行すると壊疽により切断に至る場合もあります。感覚がにぶい、赤くなっているところがある、傷口の有無などチェックをしましょう。
・「め」目
糖尿病性網膜症で網膜にある細血管が壊れます。進行すると失明してしまいます。
・「じ」腎臓
糖尿病性腎症は腎臓の細血管が壊され、進行すると人工透析が必要となります。
その他にも脳梗塞脳出血、心筋梗塞などを引き起こす可能性があります。
注意すべき症状
初期の段階では症状がみられないことが多いです。発症しても気づかないまま時間が経過し合併症が進行する場合もあります。
・のどの渇き
・体重の減少
・疲れやすい
・尿量が増える
・目のかすみや見えにくさ
・手足の痛みやしびれ、むくみなど
これらの症状を感じたら早めに医療機関へ相談しましょう。
治療と対策
・運動療法
運動により血流が増えるとブドウ糖が細胞内に取り込まれ、インスリンの効果が高まり、血糖値が下がります。
スクワットや踵上げなど簡単な筋力トレーニングのほかに、散歩やサイクリングなどの有酸素運動も全身運動として有効的です。ストレス解消のためにも運動はおすすめです。
体調に合わせて無理なく楽しく続けられる運動から始めてみましょう。
・食事療法
暴飲暴食を避け、栄養バランスの取れた食事を心がけることが大切です。
規則的な時間での食事に加えて、正しいエネルギー量にすることで膵臓の負担を減らします。糖質や脂質が多い物を避け、野菜や海藻類などから食べ始めましょう。主食は少なめに、冷ご飯や麦ごはんに変更するのもおすすめです。
・薬物療法
食事療法や運動療法で血糖コントロールが上手くいかないときには、経口薬やインスリン注射なをおこなうこともあります。
生活の中での工夫
いきなり運動を始めようとしても、慣れないことで気持ち的にも時間的にも余裕がない方も多いと思います。普段の生活の中から少しずつ取り入れてみるのはいかがでしょうか。
・なるべく階段を使う
・バスや電車ではなるべく立つ
・一つ手前の駅から歩く
・掃除でたくさん歩き回る
・テレビを見ながら簡単な運動
・食事の準備をしながら足の運動
・気になっていた場所に散歩に行くなど。
また、自己管理ノートや万歩計、アプリなどを使って毎日の記録をつけるとわかりやすいです。運動内容や量、食事内容、血糖値、血圧、体重などを簡単に記録しましょう。
糖尿病は気を付けているつもりでも気が付かないうちに悪化している可能性もあります。進行やそれに伴う合併症を予防するためにも血糖コントロールを適切に行うことが必要です。定期的な診察や検査を行い、早期発見、早期治療に繋げていきましょう。