3秒に1人は転んでいる? 1分に1人は骨折している?
65歳以上の高齢者の3人に1人は、1年間に1回以上転倒すると言われています。
2021年時点で、我が国の高齢者人口が3,640万人と仮定すると、実に1,213万人もの方が1年間に一回以上転倒を経験することになります。
また、転倒した人のうち、おおよそ5%に骨折が認められると言われていますので、1年間に61万人程度になります。
この情報を基に計算すると、我が国の高齢者において、約3秒間に1人が転倒し、1分間に1人以上が骨折していることになります。
転倒と健康の関係
では、約3秒に1人が転倒しているが、実際にどのような悪影響があるのでしょうか?
転倒すると3人に2人はケガ!
転倒した3人に2人は何らかのケガを負うことが分かっています。
骨折など、大きなけがにつながるのは5%程ですが、転倒すると無傷では済まないことが多いのが実情です。
・ケガはなかった 33.3%
・打撲 32.3%
・擦り傷・切り傷 25.6%
・捻挫・脱臼・突き指 9.7%
・下半身・腰の骨折 5.6%
・縫うことが必要なケガ 3.6%
・上半身の骨折 3.1%
・その他 5.6%
ケガの有無(複数回答)
出典:内閣府 平成22年度 高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果
転倒・骨折は、要介護に関連!
転倒・骨折は認知症や脳血管障害と並び、主要な要介護要因となっています。
男性に比べて女性は、転倒・骨折により介護が必要となる割合が高くなっています。
・転倒・骨折 13%
・認知症 18%
・脳血管障害 15%
・高齢による衰弱 13%
・関節疾患 11%
・心疾患 5%
・その他 25%
転倒から始まる負の循環!
転倒・骨折は直接的に要介護の要因となるだけでなく、様々な制約を招き入れながら、負の循環を形成することになります。
①加齢変化や疾病の影響により、筋力やバランス能力などの身体機能が低下する
②身体機能低下は、要介護状態や転倒を引き起こす大きな危険因子となります
③身体機能だけでなく、家屋環境も転倒を引き起こす危険因子となります
④転倒によって骨折などの外傷をきたすことで、要介護状態になる場合があります
➄要介護状態とならなくても、転倒に対する恐怖心が生じることがあります。
➅転倒に対する恐怖心は、外出頻度の減少へとつながり、身体活動量を大きく減少させる
⑦身体活動量の減少は、直接的、または食事量減少などを介して間接的に身体機能の低下を招く
転倒の要因
転倒を引き起こす要因
転倒は、バランス能力や筋力の低下などによって引き起こされるイメージがあると思いますが、それだけではありません。
認知・視覚・聴覚の機能・起立性低血圧・薬剤・環境の影響など、様々な要因で転倒を引き起こします。
転倒リスクのセルフチェック方法
①自身が転倒しやすい状態かどうか✔してみましょう!
質問項目 | はい | いいえ |
過去1年間に転んだことがある | 5点 | 0点 |
歩く速度が遅くなったと思う | 2点 | 0点 |
杖を使っている | 2点 | 0点 |
背中が丸くなってきた | 2点 | 0点 |
毎日お薬を5種類以上飲んでいる | 2点 | 0点 |
合計点が6点以上になると、転倒しやすい状態と考えられます。
②椅子からの立ち上がりで脚の機能を✔してみましょう!
・椅子に座り、立ち上がり動作を5回繰り返します。5回目の座った時点を終了とします。
・12秒以内で完了できれば、脚の機能が保たれています。
転倒予防のトレーニング
※いずれの運動も、膝や腰に痛みがある場合には無理せず、理学療法士や医師にご相談ください。
やっておきたい2つの運動!
①椅子からの立ち座り運動 1セット10~15回、2セット
②片脚立ち運動 片脚ずつ10秒、10~15回
食事で運動効果をアップ
運動効果を高めるためには、日頃の食事も大切です。
高齢期になると、たんぱく質を豊富に含む食材(魚・肉・卵など)の摂取が重要ですが、緑黄色野菜・海藻・果物など、様々な食品をバランスよく摂取しましょう。
※糖尿病や腎臓病などの基礎疾患がある場合には、医師にご相談ください。
転倒しやすい場所を確認!
転倒は、自宅内で発生することが多いです。
真っ先に思い浮かぶ危険箇所は、段差の多い玄関や階段、滑りやすい浴室……ではありませんか?
実は、庭(36.4%)を除けば、居間(20.5%)で転倒するケースが最も多いのです。
足元のトラブル回避が重要!
転倒は、つまずき(34%)、滑り(25%)、踏み外し(12%)、バランスを崩して(9%)といった足元のトラブルで発症しているケースが7割を超えています。
特に、敷居やカーペットの縁、電気コードなどの軽微な障害物につまずきやすいです。また、床面に置きっぱなしになっている衣類や紙類で滑るというケースも少なくありません。
居間は『今一度』確認をしたいです。
例えば、電気コードは、壁に沿わしたり、絨毯の下を通す。
座布団やラグマットはつまずきの原因になるため、なるべく使用しないようにしましょう。
滑りにくい靴下を履くことや、ご自身の足のサイズにあった靴選びも大切です。
転倒を予防して健康寿命を延ばしたい、あなたへ
ボディサロン陽では、一人ひとりに合わせたオーダーメイド施術で、転倒の危険性を最小限にするとともに、自宅での生活のポイントなどもお伝えしています。ご自分のお悩みでもご家族のお悩みでもぜひ、お気軽にご来院ください。