近年、筋膜リリースという言葉を聞くことが増えてきました。しかし、流行っているからこそ言葉だけが先走ってしまい、正しい知識や技術が提供されているか、適切な介入が行われているかは疑問です。
実際、私たちが学んでいる筋膜施術は医師と理学療法士のみに限定されています。より効果を得るために正しい理解を深めておきましょう。
筋膜調整ってなに?
・筋膜ってなに?
筋膜とは、筋肉一つ一つを覆う薄い膜のことで、保護や動きの円滑化、連結、力の伝達などの役割を担っています。
また、「第二の骨格」とも言われ、皮膚から骨、内臓まで全身に張りめぐらされており、三次元的に全身を正しい位置関係に保っています。
全身が一つながりになっているので、どこかにゆがみや捻じれが生じるとほかの部位にも波及し、骨格や姿勢のゆがみを生じます。セーターのほつれをイメージするとわかりやすいですね。
その崩れた姿勢や繰り返しのストレスなどが原因となり、筋膜に更なるねじれや癒着が生じます。その部分は血流が低下し酸素や栄養が届かず、硬さを増します。これが、痛みやシビレ、可動域制限、不良姿勢などに繋がります。
・筋膜調整とは?
この癒着や歪みをとり、本来の適正な位置関係に戻す施術が筋膜調整で、様々ある治療手技の中の一つです。凝り固まった筋膜に対して持続的な伸張と摩擦・圧迫刺激を入れ炎症を起こし、約40~43℃以上の熱を生みます。それにより固まったヒアルロン酸を含む膜を溶かし、動きを出していきます。筋肉ではなく、筋膜を感じ捉える必要があります。患者様の訴えや既往歴から評価を行い、必要な部分の調整を行います。
筋膜と不調の関連は?
・筋膜は癒着しやすい
筋膜は、全く使われない部分はもちろんですが、スポーツや仕事、日常生活の中で、長時間の同じ姿勢や過用により、繰り返し負担がかかる部分も硬くなります。
一度癒着した筋膜は放置して勝手に良くなるわけではありません。全身がバランスよく使えるよう、適切な介入が必要です。
・痛い部位と原因は違う?
筋膜は全身にひとつなぎに張りめぐらされているので、どこかに癒着が生じると、そのほかの部分にも波及し影響が出ます。腰痛や肩こりで悩んでいるとしても、その原因は手や脚の筋膜から生じていた、なんてこともあります。また、過去の怪我や手術痕などが原因で筋膜のゆがみを生じているケースも多いです。
・なかなか効果が出ない・・・筋膜が原因かも?
普段から筋トレ、ストレッチなどを行っているが、なかなか効果が出ないという方は、もしかすると筋膜のゆがみが原因かもしれません。
人はそれぞれ身体の使い方の癖があります。それにより歪んだ姿勢のままトレーニングなどを行っても、正しい位置関係に筋肉や関節が揃っていないので、力の伝達もうまくできず非効率的となります。
筋膜治療の目的と効果は?
・不良姿勢の改善
・痛みやコリの軽減
・可動域の拡大
・パフォーマンス向上
・ダイエットやトレーニングの効果の効率化
・便秘、生理痛、自律神経症状などの改善
などがあげられます。
癒着し阻血状態だった筋膜が緩むことにより、その周囲の循環も改善されます。血流が良くなり、痛みやコリ、冷えなどの軽減効果だけでなく、自律神経の負担も軽減されるため、頭痛やめまい症状などの改善も期待されます。
身体のゆがみが改善されることにより、本来の骨格バランスに戻るので、効率の良いパフォーマンスや筋トレに繋げることができます。ダイエットやしわ・たるみ改善の基礎としても効果的です。また、内臓系にも関連するため、呼吸の改善や生理痛、便秘の解消なども期待されます。
筋膜調整って痛いの?
・施術中の痛みは?
筋膜を緩めるには、摩擦と圧迫によって炎症を起こし約40~43℃以上の熱を生みます。その熱により固まったヒアルロン酸を含む膜を溶かしていきます。癒着した筋膜はその刺激により痛みを感じることが多いです。
痛みの程度を伺いながら進めるので、強さの調節も可能です。痛みが強すぎるのは防御性収縮や自律神経の乱れなどを生むため、よくありません。遠慮なくお申し付けください。
・施術後の痛みは?
刺激により炎症を起こすので、施術後1~3日程度は揉み返しようの痛みを感じる場合もありますが、これは、好転反応の一種です。
効果判定が難しくなるので、痛み止めを飲んだり、筋膜施術部分を冷やしたりは控えていただきたいですが、痛みが強い場合には無理せず適宜対応していただいて大丈夫です。また、激しい運動をしたり熱すぎるお湯につかることもおすすめしません。
ご不安な場合には、我慢せず施術者にご相談ください。
その方法、間違っていませんか?
最近ではフォームローラーなども手軽に購入できますが、手で行う場合でも、グイグイと力任せに押したり、痛いほど効果的というわけではありません。間違ったやり方を続けると、揉み返しや内出血、防御性の硬さなどが起こり、逆効果となってしまいます。
また、筋膜をほぐして終わりではなく、筋膜が緩んだ後に新たな可動域での筋力トレーニングや可動域練習を取り入れることが重要です。
ボディサロン陽でも自主練習用にそれぞれに合わせた方法をお伝えしますので、お気軽にご相談ください。